更科日記 ＨＡＰＰＹコーチのテニスほか、楽しく幸せな日々

ストレスは成長に、必要だと思う。

それをストレスと感じずに、乗り越えていく。

それが大切。

とても面白い文章があったので、紹介したい。

（財）日本体育協会　指導者のためのスポーツジャーナル　２０１０年秋号　掲載

藤島　大（フジシマ　ダイ）氏　　スポーツライター

人間は「ささやかに嫌なこと」を少しずつ乗り越えながら成長すべきだと思う。

（中略）

社会生活とは各種ストレスにまみれている。生き抜くための「耐性」は身につけておかなければならない。
だから子どもには「正しいストレス」が必要だ。

（中略）

筆者の父は「遊園地には電車で」を持論としていた。
子どもが電車に乗る。
座りたいのに座れない。
見知らぬおじさんに話しかけられて赤面する。
疲れる。
のどが渇く。
そういう「ささやかに嫌なこと」が重なり、ようやく楽しい遊園地へ着く。
自家用車で一直線では、一日のあいだに嫌なことがひとつもない・・・・。

（中略）

スポーツとは、全体としては楽しいことなのに、真剣に向き合えば向き合うほど、「ささやかに嫌なこと」に満ち溢れている。
せっかくの日曜日なのに早起きしてグラウンドや体育館やプールに行かなくてはならない。そこには、おっかないコーチがいて「エラーしたのにへらへら笑うな」なんて叱られる。

（中略）

練習の日は絶対に「暑すぎる」か「寒すぎる」。
膝頭をすりむく。消毒液を塗るとシミる。風呂に浸かるときの恐怖。
試合に出たい。でも出してもらえない。なんと一学年下に才能のあるヤツがいて抜かれた。
やっと試合に出場が決まった。集合場所へ向かう途中にユニホームのストッキングを忘れたことに気づく。あの瞬間の冷や汗。あわてて取りに戻り、かろうじて間に合った安堵。
そうしたもろもろを乗り越え、勝利の達成感、仲間との共生の実感を得る。あまりにも悔しい敗北と号泣だって長い射程でとらえれば充実の証明であり、広義の「楽しみ」だ。

（中略）

ただの遊びではなく、勝負から逃げない本物のスポーツに打ち込めば、きっと感情が揺さぶられる。それこそは人間の成長の瞬間である。